11月くらいからインフルエンザワクチンを打つ人が多いと思いますが、副作用を気にする人もいると思いますし、逆にインフルエンザワクチンを何となく打っていて、インフルエンザワクチンにも副反応(厳密にはワクチンで起こる副作用のことを副反応といいます)があることを気にしない人もいます。
インフルエンザワクチン打った後に原因不明の病気になったら、実は、インフルエンザワクチンによる副反応だったということがあります。
この記事では、インフルエンザワクチンを打つことで起こる「副作用について」と「その症状や前兆となる症状」と、ワクチンを接種してからどのくらい経ってから起こるか「好発時期」を紹介します。
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目次・・・
高い確率で起こるが、気にしなくても2-3日で治るインフルエンザワクチンの副作用について
インフルエンザワクチンを打つことによって起こる副作用の中には、気にしなくていい副作用があります。
それは、ワクチンを打ってその日の夜や次の日くらいに起こるこれらの症状です。
インフルエンザワクチンであまり気にしなくていい症状
接種直後の 「発熱、注射部位の腫脹、倦怠感、関節痛、背部痛、筋肉痛 」はよく起こる。
ここに挙げた副作用はインフルエンザワクチンを受けたことがある人は、かなりの数の人が経験しているのではないでしょうか?
経験している人はわかると思いますが、2-3日もすればいつの間にか治っているものばかりだと思います。
ただし、関節痛や倦怠感や筋肉痛は別の重大な副作用の前兆の可能性もあるので、注意が必要です。
次にあげる副作用はそういった重大な副作用で比較的起こりやすいものを紹介します。起こる確率がかなり低いですが、一度起こってしまうと、治療の必要があるものばかりです。
とくに、前兆となる症状やワクチン接種からいつ起こるか(好発時期)を気を付ける必要があります。
起こる確率はかなり低いが気を付けなければならないインフルエンザワクチンの副作用
重大な副作用が起こった場合は国に報告の義務があるのですが、2018年の報告の中で副作用報告が多く、副作用が起きると大変な副作用を解説します。
血小板減少性紫斑病 8件
アナフィラキシーショック 11件
急性散在性脳脊髄炎 11件
ギラン・バレー症候群 11件
※件数は2018年の報告件数
これら4つの副作用を詳しく説明していきます。
血小板減少性紫斑病とは?
あまり聞いたことがない病名だと思います。
この病気は
血液の凝固に重要な役割をはたしている血小板が全身の血管 の中で凝集し、血栓ができる病気です。
後遺症などを残す可能性がある病気ですので、予兆を感じたらすぐに病院に行く必要があります。
血小板減少性紫斑病の前兆はどのような症状は?
以下の症状に注意です。
「発熱」、「倦怠感」、「脱力感」、「悪心」、「食欲不振」、「あおあざができる」、「鼻や歯ぐきからの出血」、「尿量の減少」、「皮 膚や白目が黄色くなる」、「軽度の頭痛、めまい、けいれん、突然自分のいる場所や名前がわからなくなる、うとうとするなど の症状が短時間におこる」
ワクチンを投与してから2か月はこれらの症状に注意
薬の副作用は、投与してからすぐに起こると思っている人が多いですが、副作用が実は結構時間が経ってから起こることもよくあります。
特に、この血小板減少性紫斑病は大体2か月くらい経ってから起きることもあるので、2か月くらいは発熱、だるさ、倦怠感などの症状に注意が必要です。
アナフィラキシーショックとは?
アナフィラキシーショックはとても怖い副作用です。
アナフィラキシーという言葉は聞いたことがある人も多いのでないでしょうか?
夏によくニュースになるのですが、スズメハチに刺されてアナフィラキシーショックで病院に運ばれたっていうのをよくテレビで見ます。
アナフィラキシーを起こすと心停止などを起こし、手遅れになる可能性があるため、前兆があったらすぐに医療機関を受診しなければなりません。
そして、アナフィラキシーショックはハチに刺されたらなるだけではなく、薬によっても引き起こされます。
特にインフルエンザワクチンでは起こりやすいので、自分がアナフィラキシーになったときに迅速に対応できるように、前兆がどのような症状でワクチンを投与してからどのくらいで起こりやすいか好発時期を知っておきましょう。
アナフィラキシーショックの前兆はどのような症状?
以下の症状に注意が必要です。
じんま疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐 などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状が複数の臓器に同時 にあるいは急激に出現する過敏反応
アナフィラキシーが起こるときはワクチンの投与後30分以内
多くの場合、投与後 30 分以内にアレルギ ー症状が出現します。
ですので、ワクチン投与直後に蕁麻疹が出てきたり、息苦しさなど上記のアナフィラキシー症状を感じたら、病院を受診しましょう。
ほとんどの場合は、ワクチンを打ってから30分くらいは会計などでワクチンを打った病院にいることが多いので、アナフィラキシーだと思ったらその病院の受付の人に言いましょう!
ワクチンを打ったら30分くらいはその病院から出ないほうが賢明です。
急性散在性脳脊髄炎とは?
病気の名前が仰々しいですが、その名前の通りかなり怖い副作用です。
原因がはっきりしない場合も多いですが、ウイルス感染後あるいはワクチン接種後などに生じる脳や脊髄、視神経の疾病です。
後遺症が残ったり、死亡率が高い疾患ですので、前兆となる症状が出たら早期に受診する必要があります。
急性散在性脳脊髄炎の予兆となる症状は?
予兆となる症状は以下のような症状です。
「頭痛」、「発熱」、「嘔吐」、「意識が混濁する」、「目が見えにくい」、 「手足が動きにくい」、「歩きにくい」、「感覚が鈍い」など
急性散在性脳脊髄炎の好発時期は?
この副作用は、ワクチン接種直後には起こらず、大体、接種1~4週後によく起こる副作用です。
ギラン・バレー症候群とは?
末梢神経に炎症が起きて、急速に進行する運動麻痺を主な症状です。
ギランバレー症候群の予兆となる症状は?
「両側の手や足に力が入らない」、「歩行時につまずく」、「階段 を昇れない」、「物がつかみづらい」、「手や足の感覚が鈍くなる」、 「顔の筋肉がまひする」、「食べ物がのみ込みにくい」、「呼吸が苦 しい」
これらの症状がワクチン接種後に感じたら注意する必要があります。
ギランバレー症候群の好発時期は?
ギランバレー症候群は、ワクチン接種後2週目くらいが最もよく起こる時期と言われています。その後、6週間くらいまでは発症することが報告されています。
ここまでのインフルエンザワクチンの重大な副反応の「症状」「予兆となる症状」「好発時期」をまとめるとこのようになります。
このようにワクチンを打ってから結構時間が経ってから発症する副反応もあるので、ワクチンを打ってから3か月くらいが自分の体調に変化がないか気にする必要があります。
こんなに副作用があるのか!とインフルエンザワクチンを打つの嫌だなーって思うかもしれませんが、そこまで心配しなくても大丈夫
このような重篤な副反応が起こる確率はものすごく低いです。
具体的に計算してみると
2018年のインフルエンザワクチンが原因と思われる重大な副反応報告は257件で、毎年3000万本弱※のインフルエンザワクチンが供給されていますので、これらの数値から副作用が起こる確率を算出すると
257/30000000=0.00085%となります。
※ 2019年のインフルエンザワクチンの供給量は約2,951万本です。(第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会の資料より)
インフルエンザワクチンについての追加情報
インフルエンザワクチンは結構気軽に打つ人が多いです。会社で費用を負担しているところもあり、そのような会社に勤めている人がみんな打ちます。
ですが、副作用のこともあるので、自分が本当にインフルエンザワクチンが必要かどうか知った上でワクチンを接種することをおすすめします。
こちらに参考になる記事を紹介しますので、興味がありましたら読んでみてください。
また、インフルエンザワクチンで感染を予防でうがいをする人がいますが、それあんまり感染予防にならないということがあまり知られていません。うがいをするなら、効果的な消毒薬で手をしっかり消毒したほうが感染予防に効果があります。
インフルエンザワクチンを打つ時期はいつがいいか解説しています。