かぜを引いたら病院に行く人もいると思いますが、薬局やドラッグストアで風邪薬を飲んで乗り切る人も多いのではないでしょうか?
その時、どのように風邪薬を選んでいるでしょうか?
間違えた薬選びをしてしまうと、治りが遅く成るどころか、薬の副作用が出ることがあります。
今は薬をアマゾンなどの通販で買うことができるので、便利ではありますが、そのかわりに薬を買うときに薬剤師に聞けないというデメリットもあります。
この記事では、風邪のときに買うときの注意点・おすすめの風邪薬を解説します。
監修薬剤師
✅ 日本で約50人しかいない最難関の指導薬剤師に最速で認定
✅ 医師からの薬の相談件数:年間約1,000件
✅ 当サイトで解説している市販薬の販売実績:2,700件以上
目次・・・
現在、日本で販売されているかぜ薬は1162種類もあります
こんなに多くの薬の中から、自分に合った薬を選ぶのってほぼ不可能ではないでしょうか?
だからの言ってCMなどで目にするのを何となく選ぶのも正しくありません。
風邪の症状(熱・喉の痛み・鼻水など)に合わせて選ぶんでしょ?
って思った人も実は間違いです。
風邪の引き方は、熱が高くなるだけの人、喉も痛くなる、頭もいたくなる、鼻水が出る
などいろんな症状が出て人それぞれですが、症状に合わせて薬を選ぶ必要はありません!
薬を選ぶ注意点を解説しながら、おすすめを紹介したいと思います。
風邪薬を選ぶ際の2つの注意点
どんな症状であったとしても以下の2点に注意して選んでください。
- 色々な成分が配合された総合感冒薬は使わない!
- 「ロキソプロフェン」という成分か「アセトアミノフェン」という成分のどちらかを選ぶ!
この二点について詳しく解説していきます。
色々な成分が配合された総合感冒薬は使わない!
ドラッグストアで売られている風邪薬を見ると様々な成分を配合しています。
そもそも風邪薬で風邪を治すことはできません。
ですので、風邪薬は「風邪の症状を抑える」だけの薬でつらい症状を感じなくするだけです。
どのような風邪薬が売っているか例として最新の「パブロンSα微粒」という薬の成分を見てみますと、このようになっています。
ブロムヘキシン塩酸塩
|
痰を出しやすくする(痰を出しやすくする成分)
|
ジヒドロコデインリン酸塩
|
咳を止める(咳を止める成分)
|
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
|
咳を止める(咳を止める成分)
|
アセトアミノフェン
|
熱を下げて、痛みを取る(熱を下げる成分)
|
マレイン酸カルビノキサミン
|
第一世代の抗ヒスタミン(鼻水を止める成分)
|
無水カフェイン
|
倦怠感を取る
|
ビスイブチアミン
|
ビタミンB1の補充
|
リボフラビン
|
ビタミンB2の補充
|
たくさんの成分が入ってますが、大きく分けると「熱を下げる成分」「痰を出しやすくする成分」「咳を止める成分」「鼻水を止める成分」の4つに分類できます。
そして、一般の人はあまり知られていないと思いますが、この中で風邪に有効なのは「熱を下げる成分」のみであることがわかっています。(参考:The common cold in adults: Treatment and prevention – UpToDate)
◯「熱を下げる成分」 ⇒ 風邪に解熱鎮痛薬を使うと、熱を下げるだけでなく、頭痛、くしゃみ、関節痛、だるさを抑えることができる(参考:Clin Ther. 2005 Jul;27(7):993-1003)
✕「痰を出しやすくする成分」⇒ 風邪に去痰薬を使用しても効果なし(参考:Cochrane Database Syst Rev. 2014)
✕「咳を止める成分」⇒ 風邪で咳止めを飲んでも効果が低い(参考:Clin Exp Allergy. 1996;26(9):1045.)
✕「鼻水を止める成分」⇒ 副作用(眠気・口の渇きなど)の割には効果は低い(参考:Ann Allergy Asthma Immunol. 1997;78(6):531.)
いろんな成分が入った総合感冒薬、は成分はたくさん入っているので「効きそう」というイメージですが、効果は低くむしろ「副作用が出る」ので総合感冒薬はおすすめできません!
風邪の時は「ロキソプロフェン」という成分か「アセトアミノフェン」という成分のみが入った薬を選ぶ!
風邪の時は「熱を下げる成分」が入った薬を選ぶと解説しましたが、「熱が下げる成分」もたくさんあります。
その中では、「ロキソプロフェン」という成分か「アセトアミノフェン」という成分がおすすめです。
解熱鎮痛薬と言われているもので、「熱を下げる効果」と「痛みを取る効果」の2種類の作用があるものです。
ロキソプロフェンは「ロキソニン」という商品名で販売されているので有名かと思います。多くの人は頭痛に使ったりすると思いますが、風邪の時の熱を下げたり、喉の痛みやだるさにも効きます。
アセトアミノフェンというものもロキソプロフェンを同じようなものと考えていただければ大丈夫です。
また、「イブ」という製品(成分:イブプロフェン」もドラッグストアで販売されていますが、あまりお勧めではないのでここでは紹介しませんでした。どうして「あまりおすすめではない」のかは別の記事で解説しています。
【間違って選んでない?】イブプロフェン ロキソニンの違いは?どっちが強い?を専門薬剤師が解説!
結論
ほとんどの人の風邪には解熱鎮痛薬で十分です。「ロキソプロフェン」か「アセトアミノフェン」のどちらかを使うだけで、熱を下げるのはもちろん、のどの痛みを取ったり、倦怠感はとれます。
変に色々な成分が入っている「総合感冒薬」を買わないようにしましょう。
通販で買うなら具体的にどの商品がおすすめ?
通販で売られている解熱鎮痛薬はたくさんあり、ロキソプロフェンを含む商品は19種類ほどで、アセトアミノフェンを含む商品は991種類もあります。
選ぶポイントは余計な成分が入っていないものが良いです。
つまり、主成分がロキソプロフェンだけのもの、もしくはアセトアミノフェンという成分だけのものなどです。
アセトアミノフェンのみを成分として含んでいる商品は以下のものです。
商品名 | 成分量 | 価格 | 使用できる年齢 |
アセトアミノフェンA | 1錠300㎎ | 20錠 700円 | 15歳以上 |
タイレノールA | 1錠300㎎ | 20錠 980円 | 15歳以上 |
ラックル | 1錠300㎎ | 24錠 1260円 | 15歳以上 |
ノーシンAc | 1錠150㎎ | 44錠 999円 | 7歳以上 |
レスラックA | 1錠150㎎ | 24錠 550円 | 7歳以上 |
バファリンルナJ | 1錠100㎎ | 12錠 720円 | 7歳以上 |
小児用バファリンチュアブル | 1錠50㎎ | 12錠 507円 | 3歳以上 |
この中で最もお得なのはこちらです。
3歳から7歳までのお子さんに使用するならこちらがおすすめです。
ロキソプロフェンのみを成分として含んでいる商品は以下のものです。
商品名 | 成分量 | 価格 |
エキセドリンLOX | 1錠60㎎ | 12錠 699円 |
スカイブブロンLX | 1錠60㎎ | |
ハリー解熱鎮痛薬L | 1錠60㎎ | |
ピタリノールLX | 1錠60㎎ | |
メディペインS | 1錠60㎎ | |
ロキソニンS | 1錠60㎎ | 12錠 694円 |
ロキソプロフェン錠M | 1錠60㎎ | |
ロキソプロフェン錠「AX」 | 1錠60㎎ | |
ロキソプロフェン錠「GX」 | 1錠60㎎ | |
ロキソプロフェン錠「クニヒロ」 | 1錠60㎎ |
ロキソプロフェンが成分の商品はあまり通販で扱っておりません。ただし、どの商品も価格は変わりませんので、先発品のこちらを購入することをおすすめします。
ロキソプロフェンも別の成分と配合することでなんとなく効きそうな感じのものもたくさん販売されていますが、基本的には今回紹介した成分が1種類のものを選ぶようにしましょう。
ロキソプロフェンとアセトアミノフェンではどちらを使うべきか?
おすすめなのがアセトアミノフェンです。
理由は
✔ アセトアミノフェンは3歳から使える(ロキソプロフェンは15歳以上)
✔ アセトアミノフェンのほうが安い。
✔ ロキソプロフェンは胃が荒れる副作用があるが、アセトアミノフェンはそのような副作用はない
✔ 風邪だと思っていたらインフルエンザだった場合はロキソニンは避けたほうがいい(インフルにもアセトアミノフェンは使える
✔ ロキソプロフェンは赤ちゃんに影響があるため妊婦には使えないが、アセトアミノフェンは使える
また世間ではアセトアミノフェンは効果が弱いと思っている人もいますが、ロキソニンとアセトアミノフェンは臨床データから効果は同等ということが証明されています。(参考:BMJ. 2013;347:f6041. Epub 2013 Oct 25)
最後に
風邪を引いてすぐに薬に頼る人がいますが、これは間違いです。
咳や鼻水は体の防御反応で、体の中で増えたウイルスを外に排出する働きがあります。
これを薬を無理やり止めるのは風邪の治りを妨げにつながります。
そもそも風邪は大体3日から長くて1週間くらいで治りますのでその間くらいは咳や鼻水はマスクをして人に移さないように気を付けながら過ごしてもいいのではないかと思っています。