【乳幼児から大人まで】科学的におすすめの虫歯を防ぐための歯磨き粉の選び方

科学的な歯磨き粉の選び方

虫歯の予防には「フッ素」がいいというのは、よく知られていることだと思います。
テレビでもフッ素配合の歯磨き粉がたくさんCMされていますし、歯磨き粉以外にもリステリンのような口の中でブクブクうがいをしてフッ素を口の中で行き渡らせるタイプのものもあります。

フッ素を歯に使う方法は歯磨きタイプマウスウォッシュタイプがある

沢山ありすぎて、目についたものを何となく使用している人も多いとは思いますが、フッ素は歯にはいいものですが、体にいいものではありません。適切な濃度のものを適切な使用量で使用するのは重要になってきます。


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最新データを元に説明していきます。

乳幼児や幼児などのお子さんの歯磨き選びはフッ素配合のうがい液タイプではなく、フッ素配合の歯磨き粉を使用するのがおすすめ

まず、小さいお子さんに使用する際の注意点などを説明しますが、基本的にはブクブクうがいするタイプではなく、歯磨き粉にフッ素が配合されているものを使用してください。

ブクブクうがいするタイプ(マウスウォッシュ)がだめな理由

・購入が面倒
フッ素を配合しているうがい液は以下のようなものが販売されています。

商品名 成分量 販売会社 使用できる年齢
エフコート フッ化ナトリウム 0.5mg(1mL中) サンスター株式会社 次の1回量を用いて1日1回食後又は就寝前に洗口(ブクブクうがい)します。
年齢 : 4歳以上
1回量 : 5〜10mL
エフコート メディカルクール香味 フッ化ナトリウム 0.5mg(1mL中) サンスター株式会社 次の1回量を用いて1日1回食後又は就寝前に洗口(ブクブクうがい)します。
年齢 : 4歳以上
1回量 : 5〜10mL
クリニカ フッ素メディカルコート フッ化ナトリウム 0.5mg(1mL中) ライオン株式会社 次の1回量を用いて1日1回食後又は就寝前に洗口(ブクブクうがい)します。

 

[年齢:1回量]
4才以上:5〜10mL
4才未満:×

※1回量は,年齢等による口腔の大きさを考慮し,通常4〜5才で5mL,6才以上で7〜10mLです

レノビーゴ フッ化ナトリウム 0.221mg(1mL中) ゾンネボード製薬株式会社 二度みがきをおすすめします。 歯みがきの仕上げにお使いください。
・レノビーゴを使用後,口すすぎの必要はありませんが,すすぐ場合は1〜2分してからおこなってください。
・乳歯から使用できます。
・1日3回の使用が理想的です。寝る前の使用は,より効果的です。毎日使うことをおすすめします

これらは、現時点(2019年6月時点)で第一類医薬品に分類されており(医薬部外品も売ってますが濃度が低いためそのあたりは省略しています)、通販でも購入できますが、少し手続きが面倒です。(今後、第3類に移行予定ですので、移行後はほかの商品と同じような感じで購入が可能となる予定です)

・虫歯を防ぐ効果が低い
さらに、フッ素を配合したうがい液はフッ素を配合した歯磨き粉に比べて効果が低いようです。

Systematic reviews and meta-analyses have found that over-the-counter fluoride mouth rinse (0.05 percent fluoride [230 parts per million]) does not provide any benefit beyond that of fluoride toothpaste for children at low risk of caries but may be beneficial in preventing caries in children (>6 years) at high risk

・マウスウォッシュは通常の歯磨き後にしなければならない
うがい液を使用するときは通常、普通に歯磨き粉で歯磨きをして、その後ぶくぶくうがいをします。

フッ素配合の歯磨き粉を使えば、歯磨き後のうがいは省けますし、効果も歯磨き粉にフッ素が入っているほうが有効なので、基本的にはフッ素配合の歯磨き粉を使用するのがおススメです。

おすすめポイント
・フッ素配合の歯磨き粉の方はフッ素配合のうがい液より虫歯予防効果が優れている
・歯磨き粉はワンステップで終了(うがいタイプは通常の歯磨き後にうがいをする2ステップ)

また、3歳以下のお子さんではうまくうがいができませんので、そう意味でもうがい液の使用はおすすめできません。

どのくらいの濃度のフッ素が入っている歯磨き粉を使用するべきか?

子供にはフッ素を含むうがいは使わないでフッ素配合の歯磨き粉を使用したほうがいいというのは、わかるのですが、色々な濃度のものが売っていてどれを買ったらいいかわからないと思います。

おすすめはフッ素濃度は1000ppmのものです。フッ素が含まれているが、濃度が相当低いものもあるので注意してください。

he optimal concentration of fluoride is uncertain. In a network meta-analysis of 81 studies, concentrations of 1000 to 1500 parts per million (ppm) were associated with better outcomes than nonfluoride toothpaste; in indirect comparisons, outcomes were similar for concentrations of 1450 to 1500 ppm and concentrations of 1700 to 2000 ppm

↑逆に販売されているもので1450ppmという高濃度のものも販売されていますが、1000ppmでも2000ppmでも効果は同じと考えられています。

あとで書きますが、フッ素自体無害なわけではありませんので、できるだけ少ない量で最大限に効果を発揮するものを選びたいですよね?

歯ブラシにつける歯みがき粉の量にも注意

いくら濃度が低いものを選んでも、歯ブラシに大量につけては結果的に大量にフッ素を摂取してしまいます。

じつはお子さんの歯磨きをするときのフッ素配合歯磨き粉の適切な量もデータで示されています。

三歳以下の乳幼児は子供用の歯ブラシに薄く塗るくらいでちょうどいいらしいです。

三歳か六歳でグリンピースの豆くらいの大きさが適切な量と言われています。

6歳以上になってもグリンピースより少し大きくするくらいで十分と言われています。

We suggest that all children with teeth have their teeth brushed twice daily for two minutes with small amounts of fluoride-containing toothpaste. The appropriate amount of toothpaste for infants and toddlers (younger than three years) is a “smear” (a very thin layer of toothpaste that covers less than half of the bristle surface of a child-size toothbrush ) or the size of a grain of rice . The amount of toothpaste should be increased to no more than a “pea-sized” amount at age three years; older preschoolers can use slightly more than a “pea-sized” amount.

2013 から 2016年に行われた3歳から6歳の子供を対象に歯磨き粉を歯ブラシに付ける量を調査しましたが、40%の子供が付けすぎとの結果だったそうですので注意しましょう( MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2019 Feb 1;68(4):87-90. doi: 10.15585/mmwr.mm6804a3.)

フッ素を取りすぎるとどうなるのか?

冒頭でフッ素は体に悪いと言いましたが、具体的にどのようなことが起こるかというとがんになりやすいとか成長に影響するといった怖い感じのことはいまのところ報告はありません

ではなにが起こるかというと歯のエナメル質へのフッ素沈着を起こします。

フッ素沈着とはどういうものか

これは、歯に白い斑点模様が付いてしまうものです。軽度のフッ素沈着ならそこまで目立ちませんが、重度になると、茶色の色素沈着を起こし、見た目(笑ったとき歯が見えたときに目立つ等)に影響してしましますし、見た目だけでなく歯そのものがもろくなりますので歯が欠けやすくなります。

どのくらいフッ素をとるとフッ素沈着を起こすか?

このフッ素沈着を起こすのは大人では相当大量のフッ素を取らないと基本的には起こりませんが、体格がまだ小さい乳幼児は注意が必要です。

具体的には0.05㎎/kg/day(Caries Res. 1992;26(5):328-32.)との報告があります。

つまり、体重10kgの乳児でしたら、1日当たり0.5mgのフッ素になります。(体重20㎏ならフッ素1㎎)

フッ素0.5㎎というのは、1000ppmの歯磨き粉を0.5gに相当します。ちなみに歯磨き粉の0.5gってどのくらいかというとこれで0.5gです。

こんなもん?意外と少ない!もっと使ってる!と思うかもしれませんが心配する必要はありません。

というのも、歯磨き後は口の中をすすぎますので、これを全部飲み込むわけではありませんので最初の方に説明した「歯ブラシに付ける量」を守っていれば基本的には問題ないと考えて大丈夫です。

ただし、うがいが上手くできない乳幼児は注意が必要です。




うがいが上手くできない4歳未満の小さなお子さんは注意!

4歳未満ですと、うがいが上手くできなかったり、歯磨きの最中に唾液と一緒に飲み込んでしまうお子さんがいると思います。このような場合はフッ素の接種量が多くなってしまいます。

そのような場合は、フッ素の含有量を減らす必要があります。乳幼児用に500ppmほどの低い濃度の歯磨き粉が販売されています。

500ppmのものでしたら、適切な量を使用していれば、仮にすべて飲み込んでしまっても問題ありません。ですので、お子さんが小さくてうがいが上手くできないときは、こちらを使用し、うまくうがいできるようになってから、1000ppmのものを選ぶようにしましょう。

大人が選ぶべき歯磨き粉

これまでは子供が使うべき歯磨き粉を紹介してきましたが、大人にとっても最新データからおすすめの歯磨き粉があります。

基本的な考え方はお子さんの場合と一緒で、1000ppmほどの歯磨き粉を選ぶことが大原則となります。
ただし、気を付けないといけないことは年齢進むにつれて歯周病にも気を付けなければならないということです。

虫歯だけでなく歯周病も予防できる歯磨きを選ぶ

60歳以上の高齢者の25%は歯を失っており、その半分は歯周病が原因と言われています。

歯周病の予防にはフッ素は効きません。

フッ素は虫歯の予防効果があることはよく知られていますが、歯周病の予防には全く効果がありません。

歯周病の予防効果があるのはクロルヘキシジンという消毒成分!

あまり聞いたことがないと思いますが、歯肉炎や歯周病に有効なのはクロルヘキシジンという消毒作用のある成分です。

テレビのCMなどで歯周病にリステリンなどと宣伝されていますが、リステリンに含まれる成分はにも消毒成分が含まれていますが、効果を示すデータはありません。

アメリカではクロルヘキシジンは0.12%という濃度で販売されています。このくらいの濃度でないと有効ではないといわれています。

しかし、日本においては0.1%のクロルヘキシジンを含むものはこれのみとなります。

商品名 成分量(1g中) 販売会社 使用できる年齢
ラカルトメディキュアー クロルヘキシジン塩酸塩 100mg
ヒノキチオール 100mg
グリチルレチン酸 300mg
トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE酢酸エステル) 2000mg
エスエス製薬株式会社 本品0.2〜0.5g(約1cm前後)を歯ブラシにつけて、1日2回(朝・晩)歯肉をマッサージするように磨いてください。
小児に使用させる場合には、保護者の指導監督のもとに使用させてください。

ですので、歯周病と虫歯を予防するためには

まずは1000ppmの歯磨き粉を使用し、その後仕上げ磨きで0.1%クロルヘキシジンを含むラカルトメディキュアーを使うというのは現時点でのデータの基づく最強の組み合わせとなります。

ただし、2回も歯磨きしたくないよという方は、クロルヘキシジン濃度が0.05%になりますが1000ppmのフッ素の両方を含むコンクールという商品がおすすめです。


ただし、歯周病予防の研究ではクロルヘキシジンは0.12%から0.2%の濃度で行われるため、0.05%という濃度の有効性は研究データで明確に証明されているわけではありません。有効性はあると考えられますが、0.1%の製品と同等の効果なのかは現時点で不明です。

注意

これらはあくまで日常でできる虫歯や歯周病の予防であって、虫歯や歯周病を治すのもではありません。また、基本的には歯医者に行って定期的に歯石の除去や検診をする必要があります。




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