「リベルサス錠」 概要・作用機序・類似薬・比較臨床試験

リベルサスについての薬の概要・作用機序・類似薬・比較試験を専門薬剤師が監修して解説
リベルサス錠の概要をざっくり解説
・効能効果「 2 型糖尿病」
・GLP-1受容体作動薬であり、本邦初の「経口投与可能」な製剤
・同成分の注射「オゼンピック」が販売されている
・既存のGLP-1製剤よりもHbA1cを下げる効果が強いことが示されている。
※PIONEER 9 試験(リラグルチドとの比較検討試験参照)
・逆に、既存のGLP-1製剤にある心疾患のリスクを減らすエビデンスは「リベルサス」にはほとんどない
・体重減少の効果の強さはオゼンピックと同じくらい

リベルサス錠の作用機序は?

本剤の作用機序は、他のGLP-1受容体作動薬と同様の作用機序です。

膵β細胞上の GLP-1 受容体に結合することで、 血糖依存的なインスリン分泌促進作用、グルカゴン分泌抑制作用を示し、血糖値を低下させます。また、食後早期の胃内容排出遅延作用も確認されています。
リベルサス錠 インタビューフォームより

リベルサスの類似薬は?

上記のような作用機序(GLP-1受容体作動薬)は日本で注射薬として、下記の8種類が承認されています。

また、特徴的なのは注射剤「オゼンピック皮下注」は「リベルサス」と同成分となっています。

特徴医薬品名一般名薬価
GLP-1作動剤
(連日投与)
バイエッタ皮下注10μgペン300エキセナチドキット(1)9,885
GLP-1作動剤
(連日投与)
ビクトーザ皮下注18mgリラグルチド(遺伝子組換え)10,359
GLP-1作動剤
(連日投与)
リキスミア皮下注300μgリキシセナチド6,059
GLP-1/持続型インスリン配合ゾルトファイ配合注フレックスタッチインスリン デグルデク(遺伝子組換え)300単位・リラグルチド(遺伝子組換え)10.8㎎配合剤5,359
GLP-1作動剤
(週1回)
オゼンピック皮下注セマグルチド(遺伝子組換え)11,008
GLP-1作動剤
(週1回)
ビデュリオン皮下注用2mgペンエキセナチドキット3,636
GLP-1作動剤
(週1回)
トルリシティ皮下注0.75mgアテオスデュラグルチド(遺伝子組換え)3,396
持続性 GIP / GLP-1 受容体作動剤(週1回)マンジャロ皮下注チルゼパチド未発売

ガイドラインでのリベルサスの扱いはどうなっているか?

日本における糖尿病ガイドラインは2019年より改訂されていないため2021年に販売されたリベルサスに関する記述はありません。(参照:糖尿病ガイドライン

しかし、海外のガイドラインを参考にすると、リベルサスの立ち位置がわかりますので解説します。

リベルサスの使用が想定されるケースは、既存のGLP-1作動薬ではHbA1cが目標値を達成できない「心血管リスク」がない2型糖尿病患者

GLP-1作動薬としては、日本のガイドラインにおいては下記のように心血管・腎イベントのリスクを抑える目的使用が推奨されています。

EBM-based approachから心血管・腎イベントの発症阻止に重点をおく治療の概念が確立され,粥状動脈硬化性心血管病(ASCVD:atherosclerotic cardiovascular disease)の既往,ASCVDのハイリスクのインジケーター,CKD,心不全を認める患者では種々ある薬剤のなかでも,「投与時のHbA1cの値あるいは個別の管理HbA1c目標値,メトホルミン使用に関係なく」,心血管・腎イベントのリスク低下にベネフィットが証明されているGLP-1受容体作動薬あるいはSGLT2阻害薬を積極的に使用することが推奨され,第1選択薬としても推奨された

糖尿病ガイドライン

これだけ読むと「GLP-1作動薬」として「リベルサス」も同じ扱いであると勘違いをする方と多いのですが、リベルサスはオゼンピックほど心血管イベントの発症抑制が証明されていませんので注意が必要です。


同成分の注射薬「オゼンピック皮下注」と比較した臨床データを表にまとめるとこのようになります。

オゼンピック注リベルサス錠備考
HbA1cの減少率(%)-1.5 ~ -2.0-0.7 ~ -2.0リラグルチド:-0.8~-1.5デュルグラチド:-1~-1.5
ASCVDのリスク下がるエキセナチド以外では同様の効果あり
心血管死のリスクー?下げる?
全体の死亡率のリスク下げるほどんどのGLP1作動薬でも同様の効果あり
腎症のリスク下がるほどんどのGLP1作動薬でも同様の効果あり
糖尿病性網膜症リスク上がるGLP-1作動薬で唯一オゼンピックでリスク上昇が確認されている
体重減少効果-3.9±0.3㎏
(30週目)
-4.0±4.2㎏
(26週目)
各薬剤の最大量を投与したときのデータ


つまり、心血管イベントのリスクがある患者にリベルサスを安易に使用するのは避ける必要があります。

逆に言いますと、心疾患リスクのない糖尿病患者でしたら、内服ということもあり利便性は高いため使用を積極的に検討されると考えられます。

著者の感想

リベルサスは注射剤「オゼンピック」と同様にHbA1cの下げる効果が強い可能性がある一方で、心血管リスクや腎症の発症リスクの低下への効果が示されていないというデメリットがあります。

ですので、心血管イベントのリスクがある患者に対しては、リベルサスは使いにくいということになります。

内服で投与が可能のというメリットがあるので、注射のGLPー1作動薬との違いを把握した上で使用する必要があります。

また、既存の製剤の方が納入価が安い場合もありますので、薬価を考慮し選択する必要があると思います。医薬品の薬剤コストの計算や考え方については別の記事で詳しく解説しています。

参考:薬剤の切り替えによる薬価差益を考慮した薬剤費の試算方法

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