赤ちゃんが欲しいと考えていて、できれば男の子がほしいとか女の子がほしいとかあると思います。インターネットで産み分けに関して調べるといろんな方法が出てきますが、科学的に根拠があるのかよくわからないものも結構あります。
ここでは、世の中でよく言われている産み分けの方法の内、タイミングによる産み分けと食べ物での産み分けについて、本当に効果があるのか、臨床データをを元に調べました。
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目次・・・
男の子と女の子が生まれる違いは?
生まれて来る男の子と女の子はそもそも染色体が異なるということはよく知られていると思います。染色体の話は小難しいのと、すでにインターネットで検索すると、色々情報が出てきて、詳しいことを知りたい方は検索してみてください。ここでは重要なところだけを簡単に説明します。
ここで重要なのは、男の子はXY染色体で女の子はXX染色体であるということです。
イメージとしては、奥さんはXだけ持っていて、旦那さんはXとYの両方を持っている感じです。
そして、受精するときに旦那さんのXが奥さんのXと受精すればXXとなり女の子が生まれます。逆に旦那さんのYが奥さんのXと受精すれば受精卵はXYとなり男の子が生まれます。男の人でXしか持ってないという人は絶対にいません。
また、XとYの染色体は同じ数だけあるので、男の子と女の子の生まれる確率はそれぞれ1/2です。
よく、女の子ばかりの生まれる家とか逆に男の子ばかりの家などあるじゃないかと言う人がいますが、コインを3回投げて3回連続「オモテ」になることって珍しくないですよね?確率では8回に1回はそうなります。
つまり、8家族のうち1家族は3人とも男兄弟もしくは3人姉妹となる計算になります。
X染色体をもつ精子とY染色体を持つ精子には違いはがある
実は、X染色体を持つ精子とY染色体を持つ精子には違いがあると言われています。
一般的にX染色体は素早く動ける反面、寿命が短く(2-3日)、酸性の環境を好むと言われています。一方、Y染色体は動きは遅いのですが、寿命が長く、アルカリ性の環境を好むと言われています。
動きのスピード | 寿命 | 好む酸性度・アルカリ度 | |
X染色体 | 速い | 短い | 酸性 |
Y染色体 | 遅い | 長い | アルカリ性 |
これらの違いを利用して、男の子や女の子を産み分けられないかということでいくつかの方法が考案され、良く知られたもので「タイミングによる産み分け」と「食べ物による産み分け」があります。それらの方法が本当に有効なのか論文などのデータから検証してみます。
タイミングによる産み分けは効果なし!
Dr Shettlesという医師が考案した方法で(シャトル理論と言われています)、子作りのタイミングが排卵するタイミングに近いほど(2-3日以内)女の子が生まれる確率が高くなり、逆に排卵日より4-6日前になってしまうと男の子が生まれやすいというものです。
この方法の理屈としては、X染色体をもつ精子は動きが早いので、確率的に言ってもX染色体の精子の方が卵子に到達する可能性が高いです。
しかし、時間が経つにつれて、X染色体はY染色体より短命なので3日経つ頃には数が減って、Y染色体の精子の方が数的優位となり動きが鈍いY染色体の精子より卵子に到達する可能性が高まり男の子が生まれやすくなるという理屈です。
この方法はインターネットで調べれるとたくさん出てくる方法の一つなのですが、じつはこの方法はまったく効果がないことが証明されています。
こちらはヨーロッパの医学雑誌に発表されたデータです。
参照:N Engl J Med 1995; 333:1517-1521
このグラフから子作りのタイミングは全く男の子と女の子の産み分けには効果がないことを示しています。
別の方法も検証してみます。
食べ物で女性の体の酸性度やアルカリ度を調節して産み分ける方法
この方法もインターネットを調べるとかなり出てきます。
女の子を産みたい場合は、女性が酸性状態になるような食べ物を食べて体を酸性状態にします。X染色体は酸性状態の方が長生きするので女の子が生まれやすくなります。
逆に男の子がほしい場合はY染色体が好むアルカリになるような食べ物を食べるというものです。
体を酸性にする食べ物
酸性の食べ物(代表的なものとしてコーン、肉、豆、魚、プラム、コーヒー、卵、レバー、ヨーグルト)
体をアルカリにする食べ物
イチジク、サクランボ、レモン、アボカド、ロイヤルゼリー、人参、アーモンド、赤大根、、バナナ、オレンジ、スイカ、ポテトなど
理論的にはこのような食べ物で体を酸性、もくはアルカリ性に調節すれば、産み分けは可能なようにも思いますが、このような食べ物を食べて産み分けができたというデータは現時点ではありません。
ただし、タイミングでの産み分けのように完全に否定もできていません。
食べ物の影響に関する論文をまとめたこちらのレビューにも
食べ物(サプリメント)で産み分けができるか今後さらに検証しなければならない(完全に否定はできない)
※International Journal of Women’s Health and Reproduction Sciences, Vol. 6, No. 4, October 2018
と書いてあります。
その他にも摂取するミネラルと調節すれば産み分けが可能とするデータもあります。
ナトリウムとカリウムをたくさん摂取する→男の子
マグネシウムとカルシウムをたくさん摂取する→女の子
Female gender pre-selection by maternal diet in combination with timing of sexual intercourse–a prospective study. Reprod Biomed Online. 2010;21(6):794-802.
マグネシウムやカルシウムは食事で狙って摂るのは難しいと思います。
例えば、マグネシウムは肉類や豆類などに多く含まれます。じゃー女の子が欲しいときは肉や豆を多く摂ればいいかというと、そうではなく肉や豆にはナトリウムやカリウムも含まれてしまうので、男の子が生まれやすくしてしまっています。
ですのでマグネシウムやカルシウムを取りたい場合はサプリメントから摂ることをおすすめします。
他にも動物実験レベルの話ですが、アメリカの医学雑誌に発表されたデータもあります。
脂質が多い食事を摂ると男の子が生まれやすい
参照:Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA
なぜ脂肪の多い食事が生まれる赤ちゃんの性別に影響するのかはあまりわかっていません。仮説では脂質の多い食べ物を多く摂ることで胎盤の細胞に変化が起こったとの考察がなされています。
結論としては、食べ物で産み分けは可能かもしれない!
上記で紹介したように、女性が食べる物によって、生まれてくる赤ちゃんの性別をコントロールできる可能性を示した論文が複数ありました。
ただし、確率が数%くらい上がるだけですので、あまり期待しすぎないようにしましょう!
その他の産み分けの方法は?
他にも、ゼリー(産み分けゼリーなどの名称)などを用いた方法もインターネット上で見られますが、おすすめしません。
理由は研究データが一切ないからです。
少なくとも論文や学会で有効性はまったく発表されていません。有効であれば必ず学会で発表されますが、検索してもまったくありませんでした。
産婦人科などでも使用しているところもありますが、産み分けの効果はないと思います。副作用の検証も行われていないと思いますので、当サイトはおすすめしません。
まとめ
様々な論文を検証して、現時点で産み分けに関してわかっていることは以下のようにまとめることができました。
- 赤ちゃんの産み分けについて、タイミング法はまったく効果なし
- 食べ物による産み分けの効果は否定もできないが確立した方法はまだない。
ナトリウムやカリウム、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが産み分けに効果があるかもしれない - 他にも、ゼリーなどを用いた方法もインターネット上で見られますが、有効性を示すデータがないのでおすすめできない