「薬剤が追加になったけどルートがこれ以上取れない」「この薬って側管投与できたかな?」
病棟で問題となりそうな配合変化や覚えておいた方がよい薬剤の配合の組み合わせをクイズ形式でお届けします。
この記事では「医療薬学会薬物療法専門薬剤師」の監修の上で作成されております。
「ビーフリード」と「アセリオ」は配合変化を起こす?側管から投与できる?
正解は
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「アセリオ」は「アセトアミノフェン」を主成分とする解熱鎮痛剤です。アセトアミノフェンはカロナールやアンヒバ坐剤と同じ成分で内服ができない患者に使用されます。
ビーフリードが投与されているルートの側管からアセリオが投与できるといいのですが、アセリオがビーフリードと配合変化を起こすかどうか確証を持てる人はあまりいないと思います。
なぜなら、アセリオとビーフリードを直接混合したデータがないからです。
アセリオが側管から投与できるかどうかについてのデータに関して、アセリオを製造販売しているテルモ社が様々な配合変化データをホームページで公表しており、最新のデータでは約120種類の薬剤と配合変化試験を行っております。
アセリオ配合変化表より
ですが、残念ながら「ビーフリード」との配合変化試験は行われておりません。
ですが、ビーフリードと組成がほぼ同じ「アミグランド輸液」と配合変化試験をしており、「アミグランド」と「アセリオ」は配合変化を起こさないことが証明されています。
※アミグラドンドはすでに販売中止になっているため、最新のアセリオの配合変化表から削除されているため、現在はこのデータは見ることができませんので注意してください。
「ビーフリード」と「アミグランド」の違いは?
「ビーフリード」と「アミグランド」の組成を一覧にして比べてみるとこんな感じで一部の電解質(「gluconate」と「Citrate」)が異なりますが、その他の糖質・電解質・アミノ酸・ビタミンほぼ同じ組成ということがわかります。
ビーフリード(500mL) | アミグランド(500mL) | ||
糖質 | ブドウ糖 | 37.50g | 37.50g |
糖濃度 | 7.5% | 7.5% | |
電解質 | Na+ | 17.5mEq | 17.5mEq |
K+ | 10mEq | 10mEq | |
Mg2+ | 2.5mEq | 2.5mEq | |
Ca2+ | 2.5mEq | 2.5mEq | |
Cl- | 17.5mEq | 17.6mEq | |
SO42- | 2.5mEq | 2.5mEq | |
Acetate- | 8mEq | 9.5mEq | |
L-Lactate- | 10mEq | 10mEq | |
Citrate3- | 3mEq | - | |
Gluconate- | - | 2.5mEq | |
P | 5mmol | 5mmol | |
Zn | 2.5μmol | 2.4μmol | |
ビタミン | チアミン塩化物塩酸塩(チアミンとして) | 0.96mg(0.75mg) | 1mg |
アミノ酸 | 総遊離アミノ酸量 | 15.00g | 15.00g |
総窒素量 | 2.35g | 2.35g | |
必須アミノ酸/非必須アミノ酸 | 1.79 | 1.79 | |
分岐鎖アミノ酸含有率 | 30w/w% | 30w/w% | |
総熱量 | 210kcal | 210kcal | |
非蛋白熱量 | 150kcal | 150kcal | |
非蛋白熱量/窒素 | 64 | 64 |
まとめ
アセリオは配合変化を起こしにくく、フルカリックなどの高カロリー輸液との配合変化試験においても「30分間pH、外観変化がない」とこが確認されており、多くの人は「アセリオは高カロリー輸液と配合変化を起こさないのでビーフリードとも配合変化はないだろう」と考える人が多いのではないかと思います。
間違いではないのですが、高カロリー輸液よりももっと組成が似ている「アミグランド輸液」との配合試験結果を参照するのがより良いと思います。
※配合変化の薬の組み合わせは膨大なので、覚えるのは難しいです。当サイトでは簡単に配合変化データを調べられるデータベースを公開していますので、配合変化について疑問に思ったらこちらで調べてみてください↓