「イントラリポス」と「バンコマイシン」は配合変化を起こす?側管から投与できる?


薬剤が追加になったけどルートがこれ以上取れない」「この薬って側管投与できたかな?

病棟で問題となりそうな配合変化や覚えておいた方がよい薬剤の配合の組み合わせをクイズ形式でお届けします。

この記事では「医療薬学会薬物療法専門薬剤師」の監修の上で作成されております。

「イントラリポス」と「バンコマイシン」は配合変化を起こす?側管から投与できる?

正解は

イントラリポスのような脂肪乳剤製剤を点滴のルートが確保が困難患者に抗菌薬を投与しなければならないケースがあると思います。

イントラリポスのような脂肪乳剤はとても不安定な製剤であり、他剤との配合変化を起こしやすいため、添付文書にも「本剤に他の薬剤を混合しないこと。」と明記されています。

脂肪乳剤はpHの変化や電解質の影響で粒子が不安定になり、粒子径が粗大化することがあります。脂肪乳剤の粒子径が粗大化し、1μm以上の脂肪粒子が増えることで肺塞栓の原因なる可能性が指摘されています。(外科と代謝・栄養 31:17-22,1997)

脂肪乳剤と混ざることで急激に脂肪乳剤を不安定化させてしまうことが知られている抗菌薬がいくつかありますので間違えて側管投与などしないようにすることが重要です。

脂肪乳剤と配合不可の抗菌薬
ゲンタマイシン、アルベカシン、ミノサイクリン、バンコマイシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ホスホマイシン、メトロニダゾール、フルコナゾール

一方で、脂肪乳剤と混ざっても脂肪乳剤の粒子径に影響しない抗菌薬もあります。

脂肪乳剤と配合できる抗菌薬
ピペラシリン、アンピシリン・スルバクタム、セファゾリン、セフォチアム、セルバクタム・セフォペラゾン、セフメタゾール、セフタジジム、セフェピム、セフトリアキソン、フロモキセフ、イミペネム、メロペネム、クリンダマイシン、テイコプラミン、ミカファンギン、ST合剤

脂肪乳剤と配合できるかどうかしっかり調べてから投与するようにしましょう。


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