「薬剤が追加になったけどルートがこれ以上取れない」「この薬ってどの輸液に希釈できたかな?」
「病棟で問題となりそうな配合変化」や「覚えておいた方がよい」薬剤の配合の組み合わせをクイズ形式でお届けします。
この記事では「医療薬学会薬物療法専門薬剤師」の監修の上で作成されております。
「フェジン」と「生食」は配合変化を起こす?側管から投与できる?
正解は
⇓
⇓

「フェジン」は2mLのアンプルに入っていますが、2mLは投与しにくいので、実際に投与する際は輸液に希釈して投与することが多いと思います。
希釈する際に使用するのはほとんどの薬は生食に希釈して投与することが多いですが、フェジンに関してはブドウ糖液で希釈するように添付文書に指定されています。
本剤を希釈する必要がある場合には、通常、用時10〜20%のブドウ糖注射液で5〜10倍にすること。フェジン添付文書より
フェジンの希釈はブドウ糖液を使うように書いてある理由
フェジンは溶液中の鉄を安定化させるためにコロイド化しておりますが、コロイドは電解質の影響を受けると不安定になります。
多くの輸液はナトリウムイオンや塩化物イオンなど様々な電解質を含むことがほとんどであるため、電解質を含まないブドウ糖液がフェジンの希釈には勧められています。
フェジンを生食で希釈すると実際はどうなるのか?
フェジンを生食で希釈した論文を紹介します。
フェジン2mLを生食100mLに希釈すると外観変化はないが、遊離鉄濃度が約1%ほど上昇した。参考:医療薬学 46(1) 1―6 (2020)
1%はどの程度なのかわかりにくいですが、ブドウ糖液で希釈しても実は遊離鉄濃度は若干(0.2%前後)上昇します。
生食で希釈した場合に比べるとブドウ糖液で希釈するほうがコロイドが安定なのは確かではあるようですが、別の論文では
「フェジン静注を 5%ブドウ糖液および生理食塩液で希釈した場合,遊離鉄イオンの存在比に有意な差は認められない」(参考:J Pharm Health Care Sci, 2018, 4, 21. doi:
10.1186/s40780-018-0116-0.)
と結論づけていますので、遊離鉄濃度が少し高くなることを考慮した上で生食で希釈することは可能と考えられます。
フェジンを5%ブドウ糖液で希釈できる?
フェジンの添付文書には「10〜20%のブドウ糖注射液で希釈すること」とあります。しかし、医療現場では10%や20%のブドウ糖液を使うことはあまりなく、大体「5%」を使用すると思います。
5%ブドウ糖液でフェジンを希釈できるのか疑問に思う人も多いと思いますが5%ブドウ糖でのフェジン溶液の安定性も検討されており、結果として「10%-20%ブドウ糖液よりも5%ブドウ糖液では遊離鉄イオンの発生がより抑制されて安定性が高い(参考:医療薬学 46(1) 1―6 (2020))」ということがわかっていますので5%ブドウ糖液でフェジンを希釈することは可能です。
フェジンの希釈についてのまとめ
・フェジン1Aを生食100mLで希釈すると若干の遊離鉄濃度の上昇があるが、外観変化ない。
・フェジン1Aを5%ブドウ糖液で希釈すると10-20%ブドウ糖液で希釈するよりも遊離鉄濃度は低く安定している
※配合変化の薬の組み合わせは膨大なので、海外のデータまで調べるのは大変な労力を要します。当サイトでは簡単に配合変化データを調べられるデータベースを公開していますので、配合変化について調べたいと思ったらこちらで調べてみてください↓