緊急避妊薬(アフターピル)はSNS上など不法に売買がなされているなどの現状があります。そのようなことが横行するのも緊急避妊薬を必要とする人が多いからですが、なかなか病院に行くというのはハードルが高く簡単にSNSで手に入れることができてしまえば、それを利用するという人が多いのもわかる気がします。
しかし、緊急避妊薬は副作用も起こしやすい薬のため十分な知識がある人でないと重大な副作用を起こす危険性があるためこのようなSNSなどで緊急避妊薬を購入するのは控えましょう。
このような実情があるため、国としてはスマホなどでのテレビ電話を通して産婦人科の医師の診察を受けることで(いわゆるオンライン診療)病院に行くことなく緊急避妊薬を処方してもらえるようになる流れになるようです。(ただし、2019/4/1時点ではまだ認められていません。現時点ですでにオンライン診療で緊急避妊薬の処方を行っている医療機関がありますが、国が認めていませんので注意してください。)
オンライン診療のメリット・デメリット・利用するために必要なことなどはこちらで詳しく説明しています。
2019年5月31日に行われた第5回「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で「産婦人科の医師もしくは研修を受けた医師がオンライン診療で緊急避妊薬を処方することが認める方針であることがわかりました。
2019年3月29日に行われた、「平成30年度 第3回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、オンライン診療で緊急避妊薬(アフターピル)の処方を行ってもよいかどうかの検討がなされ、条件が設定されますが、スマホでの診察のみで処方が可能になるようです。
目次・・・
緊急避妊薬(アフターピル)とは?
緊急避妊の際に使用する薬は、ノルレボ錠というものを使用するのが一般的で、こちらは避妊に失敗したときから72時間(3日)以内に服用すれば妊娠する確率を1パーセント以内に抑えることができます。
72時間以内に薬を服用すれば、避妊を失敗した方の63人の内、妊娠した例は1例で妊娠率は約1.5%となっています。 参考:ノルレボ錠1.5㎎の添付文書より
ただし、オンライン診療では、通常の対面診療を違い、その場で薬をもらうことができません。(スマホ越しで診察しているので当然ですが)。
通常は処方せんを郵送してもらい近くの薬局で薬を受け取りますが、72時間という猶予がありますので、郵送に時間が1日ほどかかりますが問題ありません。
オンライン診療でのアフターピルの診療から受け取りまでの流れ
まずは、オンライン診療でアフターピルの処方をするための研修を終えている医師を探す必要があります。
現時点(2022年12月時点)での研修を修了した医師は厚労省がリストを公表していますので、リストを参考に病院を探してください。
すべての産婦人科でアフターピルの処方を行っているわけではないため、ホームページなどで確認してください
①そしてスマホ上でオンライン診療を受けます。(オンライン診療を受ける流れについてはこちらで解説しています)
②処方箋もしくは薬自体が自宅に郵送されてくる
③処方せんが自宅に送られるてくるので近くの薬局に持参してください。(注意:処方を受け付けている薬局は研修を受けた薬局に限られます)
④薬局で薬が渡されますので、その場で服用するように言われますので、従ってください。(転売目的の人もいますのでその場で飲むように言われます)
⑤3週間後に近くの婦人科を受診してください(避妊が成功しているか確認します)
注意点
いくつか注意点がありますので、気を付けることをまとめました。
処方せん・薬の郵送に1日ほど要しますので早めに受診すること
薬を72時間以内に飲まなければなりませんので、避妊失敗後すぐにオンライン診療を受けてください。オンライン診療を受けるか迷って2日以上経過すると、処方箋が間に合わないことがあります。
薬を服用してから3週間後に近くの婦人科を受診することが必須となります
オンライン診療を受けるときに、3週間後に近医の婦人科を受診する約束をする必要があります。これが守られない場合は処方されないことがあります。
十分な知識を持った医師が説明を行い、近医産婦人科を紹 介する等、3週間後の産婦人科受診の約束を取り付けること。
「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 第3回 資料2より」
写真付きの身分証明書を準備する必要がある
使用できる身分証明書は
・マイナンバーカード
・運転免許証
・パスポート
これらを内一つの持っていないという方はオンラインでピルを処方してもらえませんので注意してください。
ちなみに、勘違いをする人が多いと思いますが、保険証では顔写真が付いてませんので残念ながらスマホ診察を行ってもらえません。
費用はどのくらいか?
費用は全部(薬代と診察料)合わせて2万円弱くらいかかる
費用は診察料と薬代が必要になります。オンライン診療では薬代の他に数千円(医療機関ごとに違いがあるが2千円~3千円)の診察料が発生します。
薬代としてはノルレボ錠を使用した場合、1万5千円程度が目安となります。1錠当たり1万円程で医療機関は製薬メーカーから購入しています。ですので、販売価格としては、原価に利益を上乗せした価格になりますので、医療機関が利益額をいくらに設定しているかによります。
最近は後発品が販売されましたので、ノルレボ錠よりも1/2から1/3くらいの価格になっているようです。
注意:現在販売されている後発品は「レボノルゲストレル錠1.5mg「F」」です。
※自宅に処方せんが送られてくる場合は、処方箋に書いてある薬の名前を見ればわかりますが、薬が直接病院から郵送されるときは注意してください。中には輸入品であることがあり、その場合は薬代が1万円を切ります。
薬代が安いときは処方される薬がレボノルゲステレル錠1.5㎎「F」かどうか注意してください。
どこの病院で受けられるか?
緊急避妊薬をオンラインで処方できる病院やクリニックは産婦人科もしくは指定された研修を受けた医師のみとなります。
現時点(2022年12月時点)では研修を修了した医師は厚労省がリストを公表していますので、リストを参考に病院を探してください。
処方を受け付けている薬局は?
オンラインで受けたアフターピルの診察は処方せんが自宅に送られてきます。(注意:薬自体は原則郵送できません)
処方箋を持っていく薬局も実は限られていて、厚労省の指定の研修を受けた薬局のみ取り扱いが可能となっています。
現時点(2022年12月)で調剤対応が可能な薬局のリストは厚労省が発表していますので、確認してから薬局に行ってください。
オンライン診療に係る緊急避妊薬の調剤が対応可能な薬局及び薬剤師の一覧
最後に
性被害を受けた方は、病院以外でも様々な支援を受けることができます。詳しくは性犯罪・性暴力被害者のためのワンストプ支援センターに連絡してください。
各都道府県にありますので、お近くのセンターで相談してください。
そして、オンライン診療でアフターピルを対応している病院・クリニックはまだ少ないので、基本的には普通にアフターピルを処方してくれる病院・クリニックに行きましょう。
オンライン診療ではありませんが、緊急避妊の診察を対面で診察してくれる病院のリストは厚生労働省が公表していますのでこちらを参考にしてみてください。
厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した緊急避妊にかかる対面診療が可能な産婦人科医療機関等の一覧(令和2年1月17日時点)